新規バイオプローブの探索と作用機構解析

kawatani
専任研究員
川谷 誠

私たちは、主に動物細胞の増殖や分化を制御する新たな生理活性小分子化合物の探索と作用機作に関する研究を行っています。細胞ベースあるいは酵素ベースのスクリーニングにより、RIKEN NPDepo化合物ライブラリーからユニークな生理活性を有する化合物を取得し、得られた化合物の作用標的や作用機序を分子レベルで解析します。また、疾患モデル動物を使って治療薬としての有用性を検証します。このような基礎研究を通して、新しい薬剤の開発を目指しています。現在、主に下記の研究テーマに取り組んでいます。

  1. 破骨細胞機能阻害剤の探索と作用機構解析
  2. 抗腫瘍活性物質GUT-70及びBNS-22の作用機構解析
  3. ヒト白血病HL-60細胞分化誘導物質の探索と作用機構解析
  4. 細胞表現型を指標としたハイコンテンツスクリーニング
  5. アミノアシルtRNA合成酵素阻害剤の探索

化合物アレイによるバイオプローブの探索

近藤恭光
専任研究員
近藤 恭光
arrayer 化学遺伝学 において、目的タンパク質の機能を調節するバイオプロー ブをハイスループットに探索する技術はとても重要であり、小分子バイオプローブの同定は、そのタンパク質の機能解析を可能にすると同時に、薬の開発にもつながっていく。 我々は、バイオプローブの超ハイスループット探索法として化合物アレイ「NPDepoArray」を開発した。 化合物アレイは、1枚のスライドガラスに、2-3千種の小分子化合物が光親和型固定化法により固定化してあり、目的タンパク質が結合する化合物をアレイ上で解析することが可能である。
array これまでに、1万5千化合物をアレイ化しており、現在も新たに化合物バンクに収蔵された化合物についてアレイ化を進めている。 我々は、開発した化合物アレイを用いて、疾患関連タンパク質のバイオプローブの大規模探索を進めている。

テルペンドールE生合成遺伝子クラスターの解析と創薬への応用

motoyama
専任研究員
本山 高幸

M期キネシンEg5は細胞周期進行に必須なタンパク質であり、副作用の低い新たな抗ガン剤のターゲットとして注目されている。テルペンドールEは天然物としては初めてのキネシンEg5阻害剤であるが、生産量が低いという問題点と、活性がやや弱いという問題点がある。本研究ではテルペンドールE生産糸状菌Chaunopycnis albaのテルペンドールE生合成遺伝子クラスターを解析することにより、これらの問題点を解決することを目的とする。
具体的には、以下の三種の研究課題からなる。

  1. テルペンドールE生合成遺伝子クラスターの単離と生合成遺伝子の機能解析。
  2. テルペンドールE生合成遺伝子クラスターの改変による新規高活性類縁体の取得。
  3. テルペンドールE生合成遺伝子クラスターの発現を上昇させる化合物の天然化合物ライブラリーNPDepoからのスクリーニングと、テルペンドール類の大量生産への応用。
以上の研究により、医薬品のリード化合物となる新規テルペンドール類縁体を大量に得ることを狙う。

プロテオミクスを用いた小分子作用解析

室井 誠
専任研究員
室井 誠

proteomics 癌などの様々な疾病の治療薬のリード化合物の多くが、細胞の増殖や分化などの表現形を阻害する小分子として探索されています。このようにして探索された新規小分子の標的分子を特定することは、多くの場合難しいのが現状です。
小分子の標的分子を特定する方法として、小分子と標的分子の物理的相互作用を解析する方法と、生物学的手法である細胞の表現型を解析することによって標的分子を推測・証明する方法の2つがあります。小分子を処理すると、それに応答して細胞内のタンパク質の合成、分解、修飾状態が変化します。
我々は、小分子が引き起こす表現型として、プロテオームの変化に着目し、標的分子に関する知見を得る研究を進めています。2次元電気泳動をベーストした2D-DIGEをもちいて、作用の明らかな小分子を処理したHeLa細胞のプロテオームプロファイル作製しており、当研究室で新たに単離された小分子の解析結果の比較解析を行っています。

微生物代謝産物の系統的分画と単離

野川 俊彦
研究員
野川 俊彦

放線菌や糸状菌などの微生物は多様な生物活性や化学構造を有する代謝産物を作り出すことで知られている。これら活性化合物はバイオプローブと呼ばれ、ケミカルバイオロジー研究には必須の化合物群である。しかし、これらの化合物群はその存在量が微量であるため、効率的に単離・精製を行うためには分画・分析技術の確立が必要である。そこで我々は微生物の代謝産物を系統的に分画する方法を検討し、さらにこれら分画物をLC/MS分析することにより代謝産物プロファイルのデータベース化を行っている。
これにより効率的な代謝産物の分画・精製だけでなく、既知物質の排除や迅速な活性物質の同定、また有用活性物質やその類縁体の単離・同定が可能となる。さらに、このようにして分画を行ったものをLC/MS解析データ付きのフラクションライブラリーとして、化合物アレイなどのハイスループットスクリーニングに供することで新しい活性を持った化合物の効率的な探索を行っている。

細胞形態変化を基盤とした新奇生理活性物質の探索

Futamura
研究員
二村 友史

化学の力を利用して生命現象を理解する“ケミカルバイオロジー”は、従来の分子生物学では困難な生命機能解析を可能にするだけでなく、難治疾患に対するゲノム創薬研究にも貢献し得ることからポストゲノムの重要な研究領域として世界を席巻しています。ケミカルバイオロジー研究の成功にはその性質上、興味深い構造や生理活性を有する小分子化合物の開発が不可欠です。その点、微生物は極めて多様性に富んだ化合物を生産することから、研究材料となる化合物を微生物代謝産物より探索することはオリジナリティーあるケミカルバイオロジー研究を展開する上で必須のステップといえます。
ところで、細胞は与えられた化合物の作用機作に応じて様々な形態を示すことから、その形態変化を注意深く観察するだけで細胞内イベントに対する多大な情報が得られます。我々は様々な標的既知化合物が誘導する細胞形態変化を系統的に分類したデータベース”モルフォローム”を構築すれば、分子レベルでのタンパク質機能を顕微鏡下で観察される形態変化として捉えることができるようになり、このモルフォロームを基盤としたスクリーニングを行えば、迅速かつ高確率でユニークな生理活性物質に巡り会えると考えました。
現在我々は日々顕微鏡を覗きながらユニークな細胞形態変化を誘導する微生物培養株を探索し、新しい創薬シーズの開発を夢見て研究を行っています。

化合物マイクロアレイを用いたバイオプローブの探索

Tatsuro Kawamura
基礎科学特別研究員
河村 達郎

タンパク質などの生体分子の機能を調節する小分子化合物(バイオプローブ)の探索はケミカルバイオロジー研究を行う上で必要不可欠です。当研究室では、解析対象タンパク質と結合する化合物のハイスループットな探索手段として、化合物マイクロアレイが開発されました。そこで次のステップとして我々は、この化合物マイクロアレイを用いることにより様々なバイオプローブを取得し、生命現象を解明したいと考えています。
特に私はがん関連タンパク質を標的としたバイオプローブの取得、さらには標的タンパク質の機能の理解を目的とし、化合物マイクロアレイを用いたスクリーニングにより見出した化合物がin vitroおよび細胞レベルで解析対象タンパク質の機能を調節するのか検証を行っています。 また、化合物マイクロアレイを用いることにより抗がん剤シードを探索する新たな手法の開発にも着手しています。