化合物マイクロアレイを用いたバイオプローブの探索

Tatsuro Kawamura
基礎科学特別研究員
河村 達郎

タンパク質などの生体分子の機能を調節する小分子化合物(バイオプローブ)の探索はケミカルバイオロジー研究を行う上で必要不可欠です。当研究室では、解析対象タンパク質と結合する化合物のハイスループットな探索手段として、化合物マイクロアレイが開発されました。そこで次のステップとして我々は、この化合物マイクロアレイを用いることにより様々なバイオプローブを取得し、生命現象を解明したいと考えています。
特に私はがん関連タンパク質を標的としたバイオプローブの取得、さらには標的タンパク質の機能の理解を目的とし、化合物マイクロアレイを用いたスクリーニングにより見出した化合物がin vitroおよび細胞レベルで解析対象タンパク質の機能を調節するのか検証を行っています。 また、化合物マイクロアレイを用いることにより抗がん剤シードを探索する新たな手法の開発にも着手しています。

細胞周期調節因子阻害剤の探索

渡邉 信元
ユニットリーダー
渡邉 信元
Wee1

私たちは、細胞周期の進行を調節するタンパク質についての研究を行っています。その様なタンパク質の中で、私たちは特にWee1というタンパク質に注目して研究を進めてきました。Wee1は細胞分裂期に入る準備ができるまでCDKをリン酸化してその活性を抑制しますが、分裂期に入ると逆にリン酸化されて活性を失い、またWee1のリン酸化はWee1の分解を引き起こします。このリン酸化に誘導される分解機構の詳細も私たちは明らかにしました。
エイズウイルスのタンパク質のひとつであるVprというタンパク質にも細胞の分裂開始を抑制する機能があります。Vprタンパク質はエイズウイルスの病原性とも関連が深いと考えられており、私たちはVprの作用機構の解析を行っています。
これらの研究で得られた知識を私たちは細胞周期進行を阻害する化合物の単離に応用しています。この様なタンパク質はがん細胞の増殖阻害に応用できると考えています。最近では、タンパク質のリン酸化を介したタンパク質間相互作用に注目し、その阻害剤の探索系を構築しました。例えば、PLK1という細胞周期調節因子のポロボックス領域(PBD)に依存したタンパク質間相互作用はタンパク質リン酸化に依存しますが、その特異的阻害剤を見い出しPBD依存結合の役割を解析しました。また、出芽酵母を用いてVpr阻害剤探索系も構築し、Vprを阻害する化合物を見い出しています。