がん細胞のレドックス制御機構を調節する小分子化合物の探索・作用解析

Tatsuro Kawamura
研究員
河村 達郎

多くのがん細胞は、正常な細胞と比べて活性酸素種(Reactive Oxygen Species; ROS)の基礎レベルが高いため、さらなる酸化ストレスの誘導による細胞死誘導が1つのがん治療戦略として注目されてきました。一方、ROSは量・種類・局在に応じて細胞増殖や細胞死など様々な細胞応答を引き起こすため、細胞のレドックス制御機構やROSの役割については未解明な点も多くあります。そこで我々は、がん細胞のレドックス制御系のさらなる理解と制御を目的とし、がん細胞にROS産生を誘導するツール化合物(バイオプローブ)の探索と作用解析に取り組んでいます。
これまでにドイツ・マックスプランク分子生理学研究所のHerbert Waldmann教授のグループと共に大規模スクリーニングを行い、作用のユニークなROS産生誘導化合物を見出してきました。現在はこれらの化合物の詳細な作用解析に注力しています。