細胞の表現型観察で世界を変える化合物を見つける

Futamura
研究員
二村 友史

近年、化合物の力を利用して生命現象を解き明かすケミカルバイオロジー研究が注目されています。オリジナリティーあるケミカルバイオロジー研究を展開する上では、いかに面白い活性をもった化合物(バイオプローブ)を発見するかが重要です。
バイオプローブを発見するためにはスクリーニング系の確立が必要です。私たちは細胞の生き死にや形態変化などの「表現型」に着目した活性評価を実施し、興味深い生物活性をもった化合物を探索しています。
現在、以下のスクリーニングが進行中です。
1. iHOPEスクリーニングDetails
動物細胞や菌類、カビ、マラリアに対して試験サンプルが誘導する表現型を横並びにプロファイリングし、抗がん物質、抗生物質、抗マラリア物質を探索中
2. MorphoBaseスクリーニング(右図)
細胞は与えられた薬剤に応じて細胞の形が変化して死に至る。これまでに作用既知薬剤が誘導する細胞形態と薬理作用とを対応づけたデータベースを作製し、特異な形態変化を誘導する化合物を探索中
3. がん代謝スクリーニング
ある種のがんはグルコース飢餓・低酸素などのストレス環境(微小環境)において特殊な代謝機構を獲得し、生存に必要なエネルギーを捻出することがわかってきた。現在、がん微小環境下で特異的にがん細胞を殺す化合物を探索中