期待される研究成果

ケミカルバイオロジーが生み出す新技術は、生理活性物質の探索や生物反応を制御する物質や方法を発見するためのスクリーニング技術に革命をもたらすことが期待される。安全で新しい医薬、農薬、食品を提供し、さらにその安全性を評価するための検査技術にも応用が期待できる。

現在、日本の薬品に関する貿易収支は約1兆円の赤字となっており、医薬品の海外依存の実態が浮き彫りとなっている。医薬品開発においては、多くの医薬品候補化合物がその望ましくない副作用に依って開発途中でのドロップアウトを余儀なくされ、そのために失われる研究開発費は大手製薬企業といえどもその業績を圧迫している。創薬ターゲットの発見、創薬シードの導出から、安全評価を含む各種試験まで、大学や研究機関と企業がどのように役割分担あるいは連携し、成果をどのように分配するべきか、日本の創薬研究のあり方が重要な課題となっている。

本研究開発専門委員会の活動により、アカデミアと企業の連携研究を円滑かつ効率よく進めていくことが可能になるものと期待される。