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認知症の治療薬開発に道拓く

国立長寿医療研究センター(鳥羽研二理事長)の添田義行脳科学推進プログラム研究員、高島明彦分子基盤研究部長らと、ケミカルバイオロジー研究グループの近藤恭光専任研究員、長田裕之グループディレクターと同志社大学 井原康夫教授グループとの共同研究グループは、アルツハイマー型認知症の原因となる「神経細胞脱落」を抑制する薬剤を発見しました。
これまでの研究から神経細胞脱落は、タウ蛋白質が原因となって引き起こされると考えられてきましたが、その相関は明確にはわかっていませんでした。今回、モデルマウスを用いた実験によって、「タウ蛋白質の凝集」を阻害する薬剤が、神経細胞脱落の抑制にきわめて高い効果があることを突き止めました。
共同研究グループは、理研の天然化合物ライブラリーから、認知症の原因物質とされるタウ蛋白質が体内で凝集することを抑制する化合物をスクリーニングし、この凝集阻害剤のうち、ドーパミンやアドレナリンのようなカテコール核をもつ薬剤が、タウ蛋白質の凝集を阻害することを見出しました。
このスクリーニングには、当研究グループで開発した天然化合物マイクロアレイを使用しました。

関連

プレスリリース (国立研究開発法人日本医療研究開発機構)
認知症の治療薬開発に道拓く
―長寿医療センターが理研、同志社大と共同で「神経細胞脱落」の抑制実験に成功―
論文
Soeda Y, Yoshikawa M, Almeida OF, Sumioka A, Maeda S, Osada H, Kondoh Y, Saito A, Miyasaka T, Kimura T, Suzuki M, Koyama H, Yoshiike Y, Sugimoto H, Ihara Y, Takashima A.: Toxic tau oligomer formation blocked by capping of cysteine residues with 1,2-dihydroxybenzene groups.
Nat Commun, 6: 10216 (2015) PMID: 26671725 [ doi: 10.1038/ncomms10216 ]

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